メモをするといっても、一言一句書き写すわけではない。生年月日(個人情報保護のためだろうか、生年月までで日の記載はなかった)や性格、家族構成、自己PR。大した量ではなくぱっと見て判断のつくレベルだった。写真は複数枚。上半身のものと自宅のどこかで撮影したであろう全身写真が数枚あった。

やっぱりないな。即断でお断りというわけにはいかないので、時間をかけて考えているポーズをとる。何分たった頃だろうか。会議室に時計はなくわからないが、しばらくして内線電話を掛ける。電話をとったのは担当者だった。終わりました。と言うとすぐこちらへ向かうとのことだった。

「お写真とプロフィール。ご覧になっていかがでしたか?かわいらしいお嬢さんですよね。」
「うーん。そうですね。」
全面的に同意はできかねる。

「さあ。お会いする気持ちとしてはいかがですか?」
担当者は満面の笑みでこちらを見つめながらつぶやく。

「えっとですね。素敵なかただとは思いますよ。自分にはもったいないくらい。ただですね……」

適当な理由をつけようとするも、またも鉄壁の守りがこれを拒む。
ああ言えばこう言う。こう言えばああ言う。あいかわらず隙がない。

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