「では失礼します。」

結局絵心を披露するのは自分からになった。

お題は動物で、得体の知れない動物らしきものが描かれる。有里さんと作家さんは、上手ですねと言いながら失笑だ。有里さんはうさぎや馬やら、誰が見てもうさぎですね。馬ですね。と上手に描く。完全にお笑いのオチ要員とされてしまったが場が盛り上がっているのでいいことだ。

作家さんが、突然デジカメを取り出した。

「お2人撮りますね。」

え?と言う間もなく、カメラのフラッシュが光る。その後も間髪を入れずにシャッター音が鳴る。

「いい感じに撮れましたよ。あとで写真ホームページに載せますね。」

驚いたリアクションをしたのは自分で、有里さんはわかりましたと言わんばかりの表情だった。とくに嫌だという感じには見受けられなかった。

これって端から見たらお付き合いしていますに見えるよな。一呼吸置いてなかなかいい展開の仕方に安堵する。

「ありがとうございます。写真楽しみにしています!」

少し大きな声でお礼を言った自分がいた。

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