確か、まどかさんと会ったときの第一声は

「実は僕もまどかさんに申し込みしようと思っていたんです」のはずだったが、それどころではなく、最初から全くプラン通りに行かない。

出されたアイスティーを半分ほど飲む。緩めたネクタイからやっと熱気が下がり、なんとか落ち着きを取り戻す。遅くなったがやっとスタートラインに立つ。

「すみません。こんなはずじゃなかったのですがお騒がせしました。」

「いえいえ、気にしてませんよ(笑)」

まどかさんからフォローの笑顔をもらう。

「電車が事故だったんですか?係の人から聞きましたよ。大変でしたね。」

「乗っている電車そのものはなんともなかったんです。他の事故に巻き込まれてしまって。」

「私、普段通勤は車なので、電車って大変だなと思います。」

「いやー。僕から見れば車通勤の方が大変かと。渋滞に巻き込まれて時間通りにつかないとか。」

「職場と家とが近いので、渋滞というほどではありませんよ(笑)」

こういうテンポの会話がいつもの自分のペースだった(はず)周回遅れからやっと遅れを取り戻しつつある。

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