午前10時前、予約の時間より少し早く相談所に着いた。誰もいない受付には内線専用の電話があった。深呼吸してから受話器を取り内線番号を押す。「もりおさんですね。お待ちしておりました。しばらくお待ち下さい。」
赤い大きなファイルを抱えながら、奥から小柄な女性が出てきた。どうやらこの人が担当となるらしい。はじめまして。と自己紹介もそこそこに、応接室へと通される。何部屋かあったものの、すべてドアは閉まっており、話し声らしきものが聞こえる。おそらくこれらの部屋も予約で埋まっているのだろう。
「あらためまして。今日はお忙しい中、当相談所にお越しいただきありがとうございます。」お互いきちんとした自己紹介をしてから、こちらの書類一式を手渡した。担当者は書類を見ながら気になったところに質問をしてくる。
「卒業してからすぐに就職されていませんね。これはどういった理由ですか?」「転職を2回されていますが、何かありましたか?」結婚相談の前に就職の相談。いや、就職時の面接を思い出した。
転職の時のように嘘の退職理由を言っても仕方がない。正直に理由を話す。さきほどのファイルにいろいろと書き込んでいるようだった。「こういうことの説明まで必要ですか?」と聞き返すと、「職歴の空白期間を疑問に思う会員さんもいらっしゃいますから。」とのことだった。
なるほどね。職歴の空白がお見合いにまで影響するなんて。過去の自分が未来の自分を作り出す。人生をリセットとか言うけれど、やり直しは難しい。常に何かの延長線上にある。
「それではこちらのシステムについてご説明致します。」説明が丁寧なのはいいけれど、まだ契約すらしていない。本題までの道のりは長い。
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