「撮影を担当します……です。よろしくお願いします。」
スタジオ内は特別大きな音もないのに名前が聞き取れない。早口で声の小さい男性のカメラマンだった。
「これからたくさん撮影していきます。いろいろとポーズ、指示しますのでよろしくお願いします。」
体を斜めに傾けながら、顔だけはカメラ。自分では明らかにわかる不自然な作り笑顔。目に力を入れてカメラをにらむ。撮影中少しでもスーツに乱れがあると、すぐにアシスタントの人が寄ってきてしわを直す。もう自分が自分でないみたいだ。
指示されたとおりにはしているが、どうもカメラマンさんはご不満のようだった。言われたとおりになっていないとしたら、そもそもカメラマンの声が小さくてよく聞き取れないからだ。
こちらもやや不満なところがある。プロのなすがままとはいえ、本当にこのポーズでいいのか。確かに撮影のプロかもしれないが、婚活写真のプロとは一言も言っていない。
フラッシュは強烈に眩しく、取り終わりの一瞬は目の前が真っ白になる。真っ白を何度も繰り返して、やっとひとまとまりのポーズが終わったようだ。
セットが変わり、小道具を使っての撮影になった。まだしばらくこういう状態が続く。
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