ステージではライブが始まった。

「ちょっと聞いていく?」

「うん。そうだね。」

カウントダウンが終わるやいなや、帰り始めるお客さんも出始めた。せめて1曲くらいは聴いてあげないと。。

なじみのない曲の演奏が終わる。このまま1時ごろまでは演奏が続くようだ。

「じゃあ自分たちも行きますか。」

「はーい。」

まどかさんの手を握り出口方面へと足を運ぶ。カウントダウンの感想を言いあいながら駐車場へ向かう。

車に乗り込み、エンジンをかけカーナビをセットする。ナビは高速道路経由でまどかさんの自宅を指し示す。

「1時間くらいかな。ついたら1時半ってとこだね。」

「わかりました。」

まどかさんが何かに感づいた様子はない。やがて車は静かに出発する。

脳内では今後の予定を再確認する。このまま自宅へ。自宅前に停車してプロポーズ。セリフも復唱する。

ん?ちょっと待てよ。正月とはいえ時刻は1時半頃だろう。自宅前でアイドリングって大丈夫かな。だからってじゃあどこでする?仮眠したいとか言ってまどかさんの家にあがりこむ?ん?いや、明日というか今日というか帰省するって言ってたなあ。そういうわけにはいきそうにない。

やることは決まっている。ただこの直前になってやり方に迷いが生まれる。詰めが甘い。。

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